音速

音の速度は空気中で秒速約340メートルです。
実際には気温や気圧など様々な条件によって速くなったり遅くなったりしますが、私達の生活環境ではこの数字で扱って差し支えないと思います。
ご存じのように音は「物の振動」によって伝わります。空気も「物」の一つですし、その種類によって伝わり方が変わります。
金属や水は空気より密度が高いため「より高速に」振動を伝える事が出来ますが、私達人間は空気の振動を鼓膜で感じ取って「音」を認識しているので「空気中の速度」を中心に考えて良いと思います。

さて、耳で感じる音の速度は前述の通りです。一方、目で感じる光の速度は「秒速30万キロメートル」です。この途方もない速度差が様々な現象を生んでいる事はよく知られています。

左図は野球場をイメージしています。
ホームベースから外野手までの距離が仮に100メートルであったとした場合、打者の視覚的情報は瞬時に伝わりますが、打撃音は約0.3秒程遅れて外野手に届く事になりますので、音を聞いてからでは捕球地点に向かう初動が遅れ、捕球行為が間に合わない可能性があります。打球速度が仮に時速170キロメートルであったとしたら、ライナーなら約2秒で打球が到着する訳ですから0.3秒は決して無視出来ない時間になると思います。

このように「音」と「映像」との時間差がロケーションのスケールを実感させる要因にもなっています。
従って、それを逆手に取る事でスケールを演出する事も可能になるはずです。

本テーマである「臨場感」はこのような音の「時差」を利用する事で作品を強く演出する事が出来ると考えられます。

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